【#朝鮮日報】【コラム】韓国政府が触れない外信報道

「韓国の先制的防疫対応、大規模な検診実施、透明な情報公開などは今後の感染病対策のための良い先導的モデルだ」

 新型コロナウイルスによる感染症の確定患者数が世界2位の韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は4日、国際通貨金融委員会の会議でそう発言した。これまで政府・与党がオンライン、オフラインで国民に訴えてきた宣伝論理を外国高官にそのまま押し付けたものだ。彼の自画自賛を27カ国の代表が聞いた。

 韓国政府の「コロナ自画自賛」の主な根拠は海外メディアだ。企画財政部は3日、海外メディアの肯定的な反応を集めた広報資料をインターネット上に掲載した。最初のページにドイツ、英国の有力メディアによる記事を掲載した。英エコノミストが「医療分野の正直さが希望よりも大きな価値」と書き、ドイツのシュピーゲルが「韓国政府の戦略は断固とした透明性だ」と評したなどと、それぞれ韓国政府を称賛したかのように表現した。

 まず、エコノミストの記事原文には韓国に対する肯定的な評価はなかった。韓国に対する言及も「韓国とイタリアのように、疾病が広がったならば、中国人の入国禁止は効果がないだろう」という一文が全てだった。この記事が評価した唯一の国は米国(「適切な疎通の好例」)だった。

 韓国政府はまた、シュピーゲルの「Radikalen」という単語を「断固な」と翻訳したが、本文を読めば、それはむしろ「過激な」「急進的な」という意味に近い。本文は「(韓国政府が)監視カメラ、クレジットカードなどを分析し、確定患者の移動経路を公表した」と紹介し、「大衆がそれをどれほど受け入れることができるかを考慮すべきだ」と指摘した。「懸念」が「賛辞」に変わってしまった。

与党共に民主党は同日、公式ツイッターに「米保健省長官がFOXニュースで、『イタリアと韓国には非常に先進化された公衆保健、医療システムと透明なリーダーシップがある』と発言した」と書き込んだ。発言自体は事実だった。しかし、インタビューの重点は両国に対する「旅行制限」の是非だった。問題のインタビューで米保健長官は「(両国に対する)ビザ制限も可能だ」「あらゆるオプションをテーブルに置いている」と発言した。そうした部分を無視し、友好国に対する旅行制限決定を論じるのに先立ち、体面を保つために発言した部分だけを引用し、それを称賛だと紹介した。

 海外の主要メディアの中には韓国政府を批判的に扱ったところが多い。ニューヨーク・タイムズは「韓国大統領の『コロナ終息』発言は代償が大きいミス」という見出しを掲げ、ワシントン・ポスト新型コロナウイルスとアジア経済に関する記事で、「新型コロナウイルス問題にしっかり対処できなかったことは、文在寅ムン・ジェイン)政権の失敗になり得る」と評した。ABCニュースもマスク不足を取り上げた。

 全世界が韓国に投げ掛ける懸念の視線を韓国政府はまるで諸外国による関心かのように楽しんでいる。その間に韓国の新型コロナウイルスの累計感染者数は7000人、死者は50人を超えた。

ウォン・ウシク社会部記者